ひとつ、屋根の下で



『もしかしてあんた、泣いてる?』



「……泣いてないよ」



『何、その間は。

……あー、もう!あんたどんだけめんどくさいやつなの!?』


「ごめん……」


『で、今どこ!!』


「……家の近く」


『じゃああんたの最寄駅で待ってて!!行くから!!』


「え……?」


『いい!?勝手にどっか行くなよ!?』


「え、いやでも」


『返事!!』


「……はい」


瀬野くんの電話越しにでも伝わる勢いに圧倒されて、私は返事をしながら思わず頷いていた。


私、怒られるのかなぁ……。


そうだよね。


また、ちゃんと訊く前に逃げ出してきちゃった。


……向かい合おうとした途端にこんなことになるなんて、神様は私に凌に近づくなとでも言いたいのだろうか。