ひとつ、屋根の下で


凌は私の様子がおかしいことに気が付いたようで、俯いたままだった私の顔を覗き込んできた。


「……沙波?」


もう一度名前を呼ばれる。


さっきは不思議そうな声色だったけれど、それは戸惑ったような、心配そうな声に変わっていた。


顔を上げて、笑わなくちゃ。


何でもないよって、言わなくちゃ。


……そう、思うのに。



「……っ」



出てきたのは、涙を必死に堪えようとしていることがハッキリわかる、嗚咽だった。


ほどなくして、堪え切れずにぽたりと雫が瞳からこぼれ落ちていく。



「……なんで、泣くんだよ」


戸惑ったような声のまま、凌はそう訊く。


だけど、私は黙って首を横に振ることしかできなくて。



「……っ、ごめん、なさい……っ」