ひとつ、屋根の下で



勝手に部屋に入って更に勝手に人の漫画を読むなんて、ちょっとだけ気が引けたけれど、その表紙に自分でも驚くくらい引き寄せられていて、私は考えるより先にページをめくっていた。



凌の転機になった作品。


この作品がたくさんの人に受け入れられたからこそ、今の凌の漫画がある。


……この作品がなかったら、私と凌はきっと今とは違う関係だった。



はじめのうちは、そんなことを考えながら読んでいた。


だけど、だんだん私の心は漫画の中に吸い込まれてしまうんじゃないかってくらい、描かれたストーリーに夢中になっていて。


主人公に、これでもかってくらい感情移入していて。


自分でも、驚いたけれど。



「……っ」



読み終わった私の頬は涙にぬれていた。



……漫画で泣いたのなんて、初めてだ……。



自然に滑り落ちていった涙を、指で拭った。