ひとつ、屋根の下で


「……ど、して」


思わず、そんな言葉が涙と一緒に零れ落ちた。


北岡さんは、いつも優しくて。


いつも、綺麗に撮ってくれて。


こんなことをしなくたって、私は彼にたくさん写真を撮ってもらっていたのに。


私がこうして雑誌のお仕事ができるのも、いつも北岡さんが綺麗に撮ってくれるからなのに。


……それなのに、どうして。


どうして、こんなことをしたの……?



「……撮影じゃ、そんな顔、見られないでしょ?」


ゆったりとした口調でそう言った北岡さんは、まっすぐに私を見ていた。



「……そんな、顔……」


「本気で嫌がってる顔。本気で苦しんでる顔。……本気で、泣いてる顔。沙波ちゃんはそういう顔の方がいいよ」


『落ち込んで儚げな沙波ちゃんも個人的には好きだけどね』


……さっき言っていたその言葉には、そんな意味が含まれていたの?


考えたら、ゾッとした。



「……お前、それでプロのカメラマンなのかよ」


「は?」


凌が怒りの滲んだ瞳で、北岡さんを見た。


その声も、怖いくらいに怒りに満ちていた。