ひとつ、屋根の下で



……さっき、カメラを握った細い指を見たとき。


腕を掴まれたとき。


……その手に、覚えがあったから。


その綺麗な指を、知っていたから。


気のせいだと思いたかった。


ううん。
今も、そう思ってる。


そうかもしれない、という確信に限りなく近い、疑い。


だから、否定して欲しくて。


ちゃんと顔を見て、確かめたかった。



……私を恐怖に陥れていたのが、私を綺麗に撮ってくれる、あの人じゃないって────。



……だけど。


瀬野くんに促されて、しばしの逡巡の後のろのろと帽子を脱いだその人は。



「……」


「……沙波ちゃん」


掠れた声で私を呼んで、濁った眼で私を見る、その人は。