ひとつ、屋根の下で


「凌、……凌」


ただ、抱きしめられながら名前を呼ぶことしかできない私の背中を優しくあやすように撫でられて、余計に涙が出た。



ベンチに座る私に覆いかぶさるようにしている凌。


はっきり伝わってくる心臓の音。


ぬくもり。


息遣い。



全部が愛しくて、気付けば私も凌の背中に手を回し、縋りついていた。




「……大丈夫か?」



やがて、耳元で聞こえた優しさに満ちた声に、私は頷こうとして、少しだけ身体を離す。



……だけど、その瞬間、公園に入ってくる人影を視界の隅にとらえて、身体が硬直してしまった。



「沙波……?」



凌は、急に身体に力が入った私を怪訝そうに呼び、そしてゆっくり背後を振りかえった。