ひとつ、屋根の下で




「沙波っ……!」



泣き疲れて、ぼーっと空を見上げていたら、不意に私を呼ぶ声が聞こえた。


泣きすぎたせいでぼーっとする頭。


目が腫れているのが鏡を見なくたって分かる。


緩慢にそちらを見れば、走ってきてくれたのだろう、髪をぼさぼさにして、息を上げた凌がいた。


「しの……」


凌、と名前を呼び終わる前に、駆け寄ってきた凌にぎゅっと強く抱きしめられていた。


もう涙なんて枯れ果ててしまったと思ったのに、凌の温もりに触れた瞬間、意識するより先に頬を雫が流れていった。



……だけど、さっきまでの涙とは違う。


痛みを慰めるためのものじゃなくて。


これ以上ないくらいの、大きな安堵の証拠。