ひとつ、屋根の下で



このまま何事もなく駅に着きますようにと、祈るような気持ちで歩を進めていた私だけど。



その願いは、無情にも砕け散る。



……細い路地が、私が歩いている道と合流した地点。



「っ!?」



いつも、黒くて怖いあの人は、私の後ろから現れるから、まさか目の前に出てくるとは思わなくて。



合流した細い路地からいきなり飛び出してきた黒い影に、私は声もなく息を呑んだ。



以前と同じ、黒い姿。

すらりと高い身長が、圧迫感を与えてくる。

相変わらず目深にかぶった帽子のせいで、口元しか見えないのが恐怖を煽った。


細く長い指は白く、その指が絡まる黒いカメラ。



その手が触れるのは、そのカメラだけで、私には直接触ろうとしてきたことはなかった。


……のに。