俺の部屋から出た戸倉の後ろで、呟くようにそう言うと、戸倉はびっくりしたように振り返り、苦笑した。
「……案外素直なんだ。そういうところが沙波は好きなのかな」
「……は?」
戸倉の言葉の意味が分からず訊き返せば、「なんでもない」と笑って誤魔化されてしまった。
1階のリビングに入ると、沙波と雨宮が楽しそうにお喋りをしているところだった。
「あ、凌。話、終わったの?」
沙波がソファから立ち上がりながら言う。
頷いた俺を見て、雨宮も立ち上がり、床に置いてあった鞄を肩にかけると、戸倉の横に立った。
「沙波、じゃあ私たち帰るね。おじゃましました」
「うん。そこまで送るよ」
「ううん、大丈夫。ありがとう」
ぼんやりと、リビングから玄関に移動しながらの沙波と雨宮の会話を聞いていた。
玄関で靴を履いた雨宮が、ふいに俺を見る。


