ひとつ、屋根の下で



沙波には、言葉では嘘はついていないし、触れるのは仕事のためだと言っているけれど。


嘘を吐いていないのは本当だけど、沙波に触れること全てが仕事のためかと言われれば、そんなわけないだろと一蹴してしまいたい気持ちでいっぱいだった。


この前、沙波にそう問われたときも本当は、仕事のためだけじゃないと言いたかった。



……だけど、そんなことを言えば沙波を困らせるのは分かり切っていたし、たとえ言ったとして、どうなる?



まだ戸倉のことを好きな沙波には、俺の気持ちなんか重いだけだろう。



気持ちを伝えたところで、



『そっか』



と泣きそうな顔で微笑みそう言って、俯く沙波が容易に想像できる。