ひとつ、屋根の下で



「沙波のことは好きだよ。……好きだったよ。

沙波のこと、手放したくなかった。ずっと傍にいてほしかった。

……でも、千依は、手放したくない、じゃなくて、手放せないんだ。

きっと千依がいなくなったら、俺は壊れてしまうから」



手放したくない沙波と。


手放せない、雨宮。



思わず、唇をかんだ。


そんなふうに言ったって、結局は雨宮の方が大事だったってことだろ?


何の迷いもなく、コイツは結局、雨宮を選んだんだ。




「……お前、絶対沙波にそんなこと言うなよ」



今更、好きだったなんて。


せっかく立ち直りかけているのに、惑わすようなことはしてほしくない。


それに、沙波への気持ちがただの遊びじゃないなんてことを知って傷付くのは雨宮だ。


きっと、雨宮が傷付いたら沙波もショックを受けるだろう。


いいことなんて一つもない。



「分かってるよ」