ひとつ、屋根の下で



「えと……、じゃあリビングでお茶でも飲んで待ってるね」


戸惑ったようにそう言うと、沙波は雨宮を連れて階段を下りていった。


なんとなくその後ろ姿を眺め、そしてふいに戸倉と目が合う。


「話って?」


気付いているだろうに白々しく訊いてくるその態度に、イラッとする。



「……沙波のことだよ」


廊下では声が下の階にも筒抜けなのでとりあえず俺の部屋に入ってドアを閉めた。


「……支倉さんのこと?」


「支倉さん?……何言ってんだよ。お前、俺が何も知らないとでも思ってんの?」



はっ、と思わず笑いが漏れる。


こいつは、どこまで俺をイラつかせれば気が済むんだ?



戸倉は、しばしの間口を噤(つぐ)んでいたが、やがてひとつ息を吐いて、まっすぐに俺を見てきた。