ひとつ、屋根の下で



「千依は、私の恋が終わってないって言ったけど。
……大丈夫だよ。私、もう先輩のこと好きだなんて思ってない」


「え……」


「私、千依も先輩も失って、つらかった。学校なんか行きたくなかった。

無理やり笑うのもきつかったし、いつだって心はからっぽだった」



私がそう言うと、苦しそうに歪んだ千依の表情。


ごめんね。


私がつらい思いをしたぶんだけ、千依のことも、苦しめたね。


……でも、私。


「……それでも頑張れたのは、支えてくれる人がいたからだよ」


言葉にして、脳裏にはっきりと浮かぶのは、愛しい君の姿。


……それは、もう先輩じゃない。



「……それって」


千依の表情が、意外そうな顔に変わった。


私は、微笑んで頷く。


「私、もう先輩より大事な人、見つけられたから」


「沙波」


「もう、千依の大事なひとを想ったりしないから」



……だから。