ひとつ、屋根の下で



すると、凌は一歩、私の方に近づいてきた。


その気配に、私はゆっくりと目を開けた。


繋がっている手が、ふたりの間でぶらりと揺れる。



顔を上げると、どこか苦しげに眉を寄せた凌の顔が視界に飛び込んでくる。



私を見る凌の目は痛いほどにまっすぐで、気のせいかもしれないけれど、なんだか泣きそうな目だと思った。



……触れているのは手だけなのに、どうしてこんなにも全身をとらわれているような心地になるんだろう。



どうして、視線を逸らすことさえ許されないような、そんな気がするんだろう。




「……俺、沙波のこと責めてるみたいに見えた?」



瀬野くんが言っていたことを今になって気にしているのか、凌は囁く程に小さい声で訊いてきた。



私は、迷ったけれど小さく頷く。