ひとつ、屋根の下で


電車が駅に到着しても、暗い夜道を通り家に帰り着いても、凌はつないだままの手を離してはくれなかった。


引っ張られるままに辿り着いたのは、凌の部屋。


「っ!」


大きな音を立てて背後で閉まったドアに驚いて、思わず身体がぴくりと跳ねた。


そんなに勢いよくドアが閉まったのは、凌が叩きつけるように力任せに閉めたせい。


ドアと、手をつないで立ったままの凌に挟まれて、私はどうしたらいいのか分からなかった。



……沈黙が下りる。




何か言おうとは思うのだけれど、何を言うことが正しいのか分からなくて、私の心は必死に言葉を探しては口に出すことを諦めていた。



そんな沈黙を破ったのは、凌のほう。



「……何があったんだよ」