ひとつ、屋根の下で


「……ケータイ届けてくれて、助けてくれて、ありがとう。ここからはひとりで大丈夫だから」



本当は、駅までのあともう少しの道のりも、怖かった。


でもこれ以上瀬野くんに迷惑はかけられないし、私は強がって笑顔を向けた。


だけど、そんな強がりは見透かされていたようで、瀬野くんは呆れたような表情を浮かべる。



「さっき、ひとりにされると怖いって言ってなかった?」


「……言ったけど、駅まであと少しだし、大丈夫」



駅に何の用もない瀬野くんに、駅までついてきて、なんて言えない。


そう思ったのに、瀬野くんは、はぁ、とひとつため息を吐いて、何も言わずに私の前を歩きだした。


「ちょ、瀬野くんこっちじゃないでしょ!?」


「あんた、危なっかしすぎて見てらんない。駅まで送る」


「そんなの悪いよ!私なら大丈夫だから!」