ひとつ、屋根の下で



「……お前を追いかけてきたんだよ」


「へ」


「これ、忘れて帰っただろ」



そう言って、瀬野くんが持っていた鞄から取り出したのは、まぎれもなく私のケータイ。


「え……、嘘、全然気づかなかった」


受け取りながら呆然とした。


……でも、忘れて、よかった。


じゃなきゃ瀬野くん、来てくれなかったってことだよね……?


それって……。



「っ」



写真撮られただけ。


それだけ。


自分をなんとかそう励まそうと思っても、無理だった。



もしも瀬野くんが来てくれなかったら。


それ以上のことは考えたくなくて、私は無理やり思考を中断させた。




「ありがとう……」


「いや……」



微妙に目を逸らす瀬野くん。


どうしたんだろう。


また迷惑かけちゃったから、呆れられたんだろうか……。



「あの」


ごめんなさい、と言おうとした私は、自分の掌で鳴ったケータイの着信に遮られた。