ひとつ、屋根の下で



試しに、歩調を緩めてみた。


気のせいだとしてもやっぱり怖いから、私の思いすごしだったら私のことを追い抜いて欲しくて。


……だけど、聞こえてきたのは私と同じ歩調に緩められた足音。



気持ち悪い……!



耐えられなくて、思わず、振り返った。


でも。


……きっとそれが、間違いだったんだ。




「……ッ!」



視界に飛び込んできたのは、私の少し後ろを歩く、目深に帽子をかぶった人だった。


帽子のせいで顔は分からなかったけれど、背格好からして、多分、男。



そしてその人は、私が振り返った同時に、足を止めて。



素早く構えたのは、カメラ。


カメラにはあまり詳しくないから、北岡さんが使っているような立派なものかどうかは判断できなかった。


だけど少なくとも、どこにでもあるような、誰でも持っているようなデジタルカメラではないということだけはわかった。