ひとつ、屋根の下で



「何甘やかしてんですか、秋吾さん」


「瑞貴」



呆れたように会話に割り込んできたのは、いつかの毒舌少年。


初対面でブサイク、なんて言われてもう二度と会いたくないって思ってたけど、彼が北岡さんのアシスタントをしている限り、そんなわけにもいかず。


瀬野瑞貴(せの みずき)という名前らしいコイツは、今日もこの前と同じように私にだけ冷たい視線を送ってきている気がする。


いつもなら頭に来ているとこだけど、今の私には生憎そんな視線で付く傷よりよっぽど深手を負っているから、最早「どうでもいい」とさえ感じてしまっていた。



「何があったのかは知らないけど、撮影に影響出すなんてプロとして失格だろ。あんた、そんなちっぽけな覚悟でやってんならモデルなんてやめちまえば?」



瀬野くんの言葉が、ざっくりと心に突き刺さり、息が詰まった。


視線だけならなんともなかったのに、言葉になるとその威力は何倍にも跳ね上がって私に届く。



「瑞貴、言い過ぎだ」


「何言ってんすか。秋吾さんが甘すぎなんすよ。自分のことしか考えてないようなこんな意気地なしはカメラの前に立つ資格なんてありません」



困ったように眉尻を下げ、やんわり窘めた北岡さんにも構わず、瀬野くんは私に鋭く言葉を放る。


その一つ一つが心に刺さる。