誰かに必要とされてる実感が欲しかった。
誰かに私だけの価値を認めてもらいたかった。
簡単に手放せるような代えのきく存在じゃなくて、私じゃなきゃいけない理由を見つけてほしかった。
凌の部屋で、凌のために彼の言うことをきいている間は、私は不思議なくらい安心できた。
……きっと、凌が私だけを求めてくれるからだと思う。
「ふー、じゃあ今日はこのくらいにするか」
カタン、とペンを置いて、凌が思い切り伸びをした。
学校から帰ってきて約2時間、凌の漫画の手伝いをして、しばし沙波じゃなくてキャラクターになりきっていた私は、凌の声で現実に……、自分に、引き戻された。
凌の漫画は、最近三角関係も修羅場らしく、かなり女の子が感情的になることが多い。
主人公の癒し、内気な美少女・希美は、傷付くとすぐに涙を流す。
だけど、たとえ怒りにはらわたが煮えくりかえりそうな場面だって、感情的に当たり散らしたりしない。
それにたいして、素直になれない幼なじみ・莉帆は、希美とは全く逆。
辛いときや本当に傷付いたときは涙も流さずじっと耐えて、傷付いてないふりをするけど。
その痛みが怒りだと、感情的に攻撃的な言葉を並べて、そしてそんな必要以上に強い言い方をしてしまった自分に後で後悔するような、そんな女の子。


