ひとつ、屋根の下で



「……始めから、こうしてればよかったんじゃないですか」


強気美女さんが去っていった後、先輩とふたりになった廊下で、私はそう言った。


強気美女さんの説得を始めてからだいぶ時間が経っていて、私たちはかなり暗い中に立っている。

窓から差し込んでくる光は、深く鮮やかな赤。

沈みかけの夕日。



「今までは流されてたみたいですけど……、ちゃんと説得、できるんじゃないですか」



関係を断とうとしてる相手と気付いたらチューしてるなんて、なんて流されやすいうっかり野郎なんだって思ったのに。



「……沙波ちゃんのおかげだよ」



荷物を取るために教室に入り、机の上に置いてあった鞄を肩にかけながら、先輩は穏やかに微笑んでそう言った。



「わ、私……?」



夕日に照らされた先輩があまりに幻想的で、思わず息を呑んでしまった。


だけど、どうにか言葉を押し出すと、先輩はゆっくり頷く。