ひとつ、屋根の下で



「でもあとひとりで終わるから。そしたらもう沙波ちゃんに迷惑かけないし」



「当たり前です!全員と別れられたら、ちゃんと千依だけを大事にしてあげて下さいよ?」



訳の分からない胸の痛みを誤魔化してそう言った私に、先輩は、優しく微笑んだ。


……今まで見た中で、いちばん優しくて、いちばん、温かい表情だと思った。




「わかってるよ」



優し気な表情と同じくらい深い慈愛に満ちた声が響く。



なんだ。


千依のことになると、こんなに変わるんだ。



私が心配するまでもなく、ふたりの絆は深いのかもしれない。



「……わかってるならいいんです。……帰りましょう」




先輩の想いが、まっすぐ千依に向かってる気持ちが、ホンモノだということ。


喜ぶべきとこなのに。



どうして、こんなに。



泣きたいくらい、胸が痛むの────。