「……ごめんね、沙波」
「え……?」
教室でも聞いた、千依の謝罪。
「私。……沙波のこと、許せない……」
あの時は分からなかったその意味が、今ようやく、分かった。
「許せない薄情な自分に落ち込むけど、でも、ごめん。……やっぱりどうしても、許せないよ……」
「千依」
「もう、雅季に近づかないって、約束して」
俯きながらも強い口調で千依はそう言った。
「じゃなきゃ私、沙波に何するかわからないから」
「わ、私」
「沙波、お願い。私、沙波のこと許せないけど、……でも、嫌いには、なりたくないの」
嫌いには、なりたくない────。
私はようやく。
夢から覚めた心地がした。


