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「来てくれてありがとう」
ふわりと吹いた風が、千依の長い髪を揺らす。
朝から比べればだいぶ引いた目の腫れ。
────放課後、私は千依に呼ばれて屋上にいた。
久しぶりに足を踏み入れた屋上は、思った以上に開放的で。
意外なくらい、気持ちがよかった。
「ううん。……話って、私と戸倉先輩のことだよね」
屋上のフェンスに身体を預けていた千依のところに近づいて、まっすぐ千依と向かい合う。
私の言葉に、千依は悲しげな顔をして、頷いた。
「……私ね。……気付いてたよ」
「え……」
「浮気じゃなくて。……沙波が、雅季のこと好きだってこと」
消え入るような声で、千依はそう言った。
その言葉に、私は目を瞠る。


