「あはは。……実は雅季と、喧嘩して」
千依の言葉に、ドクンと心臓が嫌な音をたてた。
……待って。
私のせいだなんて千依は言ってない。
原因は他のことかもしれない。
「喧嘩、って。それだけでこんなヒドイ顔にならないでしょ」
「ヒドイ顔って!……泣きたくもなるでしょ。彼氏に、浮気されてたって知ったら」
「う、浮気……?」
俯く千依の言葉に、動揺が隠せない。
先輩と浮気してるの、他の誰でもない、私だもん────。
はじめは、先輩の「好き」を信じてなかった私。
それでもいいと思っていた私だけど、最近は、先輩のその言葉に、ほんの少しでも本気が含まれている気がしてた。
だから、余計に諦められなくて。
凌に忠告されてからも、やっぱり先輩を手放せなくて。


