「でも、今日から沙波下宿なんでしょ!?
同じ下宿先にカッコいい男の子いるかもよ!」
思いついたように、千依がそう声を弾ませた。
……実は、そうなのだ。
今日から私は、実家を出て下宿させてもらうことになっている。
本当はひとり暮らしがしたかったんだけど。
海外転勤の決まった母親から許可が下りなくて、やむを得ず、下宿。
だけど海外に一緒に連れていかれるよりはずっといいし、仕方ない。
下宿先はこの学校の近くに暮らす、母の友人の家だ。
準備にバタバタして引っ越し前の挨拶にも行けなかったから、実際に会うのも行くのも今日が初めて。


