ひとつ、屋根の下で




だけど。


そんな痛みには気付かないふりをして、笑い返した。



「そうなんだ!いいな、どこ行くの?」


「映画!雅季が観たい映画あるんだって!」



雅季(まさき)っていうのは、千依の彼氏の名前。


3年生だから、私たちよりひとつ先輩。


カッコ良くて、優しくて。


千依と雅季先輩は、学校でも有名な美男美女カップルなんだ。



「いいなぁ、デート!」


「沙波はどうして彼氏つくらないの?」


「つくらないんじゃなくて、できないんですー」



ぷう、と頬を膨らませて言うと、あははと笑われる。



「また、面白い冗談」


「じょーだんじゃないしっ」



好きでこんな悲しい冗談言わないから!


つんとそっぽを向いて、拗ねる真似をしてみる。


すると千依は楽しそうに笑った。