そして再び翔平が口を開いた。

「楓子ちゃん、・・・だけどね、どうしても、僕は17歳の楓子ちゃんとここに来たくなったんだ。」

そう言って翔平は、再びクスノキの方を見て微笑んだ。



私は、そんな翔平の表情を見て思った。



翔平はきっと、このクスノキと、翔平と楓子の『二人の時間』を重ねているんだ。



『大人楓子』と翔平がいつ出会ったのかは分からない。

でも、二人には一緒に過ごしてきた大切な時間があって、沢山の思い出がある。


『私』がまだ知らない、二人の時間が。