想い出、そばに(仮)



ふいに、翔ちゃんが私を抱きしめた。
驚きで、肩が少し震えた。


「何言ってんの?」


耳元で翔ちゃんがしゃべる。
耳に、息がかかる。


「雪那、俺言ったよね。怒ってる、って。なんで怒ってるのか、わかんないの?」


翔ちゃんの手が、息が、熱い。


「何かあったら絶対言うって言ったのは、雪那だろ」


翔ちゃんの腕の中、私はのぼせそうなくらい熱かった。

息ができないくらいに。


「俺は、雪那のだよ」



それだ。
それが、私には、苦しかった。



「それじゃ、ダメなの。翔ちゃんは、自分のために生きなきゃ、ダメなの。私がいるからでしょ? 翔ちゃんに自由がないのは。皆言ってるじゃない。翔ちゃんに彼女いたことないのはおかしいって、翔ちゃんが打ち上げに行かないのはおかしいって。…全部、私がいるからじゃない。私…私…」



苦しい。
痛い。

こんなこと言いたいんじゃないの。
これじゃ、翔ちゃんを苦しめてしまう。