「…翔、ちゃん」
一番会いたくて、会いたくなかった人。
「雪那、俺ね、怒ってんの」
目の前、近いところに翔ちゃんの気配。
「どうして俺を避けるの? ねぇ、雪那、教えてよ」
「…避けてなんか、ない」
「嘘。じゃあ、なんで俺に連絡くれないの。俺、メールも電話も何回もしたよ。内田とか坂本先輩には返してんのに。それでも君は避けてないって言うの?」
何も、言えなかった。
あまりにも翔ちゃんの声音が、悲しかったから。
そんな声、しないでほしいのに。
「雪那、黙ってちゃわからないよ。君は、どうしたいの」
翔ちゃんの手が、私の頬を撫でる。
私は、どうしたいのか。
本当は、一緒にいたい。
でも、いたらいけない。
一緒にいるのは、私のわがまま。
離れるのが、彼のため。
一緒にいたいと願えば、彼はきっと私の隣にいてくれる。
きっと、自分を犠牲にする。
どうしたらいい。
わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。
「雪那?」
見えたらいいのに。
彼の表情が、昔みたいに。
見えたら、良かったのに。

