「ね、雪那、学校、行こう?」
私は首を横に振る。
放課後、愛梨が私の部屋を訪ねてくれたのだ。
「私は、もう、行っちゃいけない、の」
「なんでっ」
「私が学校に行けば、翔ちゃんを縛ってしまう。翔ちゃんから、私は自由を奪ってしまう。そんなこと、しちゃいけないの。周りの子たちの言う通り、私が彼から離れれば、よかったの」
ぱしん、とかわいた音が響いた。
「雪那の、バカ。それじゃあ、あんたが、あいつを、失うじゃない。好き、なんでしょうが」
ヒリヒリと痛むのは、頬か、心か。
「私は、いいの。もう、十分もらったよ。十分、奪ったよ」