夢でいいから会いたいと、何度願ったことだろう。


ようやく会えた。



「……迎えにくるのが遅いぞ。」
「申し訳ありません。」
「何年待ったと…思ってるんだ!」



声が震えているのは、頬を流れる雫のせいだ。



上総は困ったような顔をして、俺に近付いてきた。



「お前があんな約束をするから、誓いを立てるから……俺は、ずっと……一人で……っ」



あの日から一度だって泣いたことはなかった。

今頬を伝うのは、何年分の涙なんだろう。



「申し訳ありませんでした。」


ぎゅっと抱き締められた。


おかしいな、夢のはずなのに………暖かい。




俺は上総の背に腕を回し、縋りつくように抱きついた。



「もう離れない。絶対。俺を一人にしないでくれ。」
「……はい。時塚様、私と共に参りましょう。」
「連れて行ってくれるのか?」


腕の中から見上げれば、彼はこの上なく優しい微笑みを向けてきた。



「時塚様は充分頑張られましたから。もう楽になってもいいんです。」
「ああ……本当に長かった。上総のいない時間は本当に。」
「いきましょう。私と共に永久に在り続けていただけますか?」
「当然だ。」



差し出された手を取る。



「上総、あの日言えなかったこと……俺は―――」



暖かな光が俺たちを包み込んだ。