同じクラスでも、
そんなに嫌じゃないかも。
と。気持ちが少し揺らめいた。
あたしのクラスは9組で
胡桃のクラスは8組だった。
だから、違うクラスと言っても
隣なのでそんなに離れている
わけではないから安心する。
普通、大抵、
最初の席は出席番号順だと思うけど、
先生が何故か、
自己紹介のあとに
席替えをやろうと言い出したので
席替えをすることになり、
くじ引きをひいている最中。
つい先程、仲良くなった
佐々木心優[ささき みゆ]と
ほんの少し、小話中。
「ねぇ、ももちゃん。
誰の隣になりたい?」
「うーん、心優ちゃんかな?」
「そーじゃなくて!
...男子のほうでなりたい人!」
「うーん...特にはいないかな。
あ、さっきの柚木くん、かな
なんか、ホッとして癒やされそう」
「あー、なんか王子って感じだよね!
爽やかで誠実っぽい格好良さが
あってそのうえ癒し系だもんね。
えーと、名前は柚木昂くんだっけ?」
そう。彼の名前は
柚木昂[ゆき すばる]。
15歳の青少年。
青春真っ最中の雰囲気を
醸し出している清純派イケメン。
癒し系でもあり天然でもある。
...いや、それは単なる天然か。
まあ、どちらだっていい。
隣になりたくない人なら、
すぐに思いつくのだった。
碧瀬空、アイツだ。
前後左右になったら
嫌な予感しかない。実に。
別に、そんなにアイツのことが
嫌いじゃないけど少しばかり、
...いや、結構と苦手だ。
振り回されてしまうから。
そんなことを考えてるうちに、
くじを引く順番になったから
強く願いながら、くじを引く。
心優ちゃんのいるところへ
移動してくじを確かめる。
よし、いい席だ。
窓際の後ろから2番目だ。
アイツは真逆の位置らしいし、
良かった、これで一安心だな。
心優ちゃんが問い掛けてきた。
「ももちゃん、何番だった?」
「32番だよ、心優ちゃんは?」
「えー....わたし、19番だったよぉ。
ちょっと、遠いね。残念...」
「そだね...」
この会話を盗み聞きしている奴が...

