chocolate cafe


 それでも、
 入学式には間に合ったのだし、

 少しくらい、
 アイツに感謝してもいいかなと思い
 入学式が終わってから 
 碧瀬の袖の裾をきゅっと掴んで
 少し、照れながら。声をかけた。

「..あ、碧瀬。さっきは..ありがと...」

 か細い声で。囁くような声で。


 碧瀬は嬉しそうにニッと
 笑った後、あたしの頭に手を置いて
 くしゃくしゃと撫で回した。

 そして、少し茶化しながら
 照れくさそうに言葉した。

「それなら..さ、名前で呼んでよ..」
 
 その瞳は真剣で
 こちらの応えを待つようだった。

 
 その瞳に惹かれてしまって
 あたしは応えるしかなかった。

「..そ、空.....。」

 もどかしい沈黙が流れた後。


「ありがと」

 爽やかでキラキラ眩しい笑顔。