「うわ、河村伊織」
隣の席の紗英が怪訝そうに彼の方を見た。
「な、なに?知り合い?」
声、震えてたかもしれない。
なんでこんなドキドキいってるんだろ。
「知り合いってか地元一緒なんだよね。昔からあんな感じの人だったから嫌でも彼の名前は知ってる。
すっごい人気者だったからねー。」
そして、わたしは興味すらなかったけど
と付け加えた。
「へー。そーなんだ。」
「河村伊織の笑顔はファンからしたら天使の笑み。わたしみたいな興味ない人間からしたら悪魔の笑みにしか見えないのよね」
ま、関わらない方がいい人物ってわけ。
そう言うと彼女は手元にあった携帯をいじりだした。
河村伊織......
多分、この時からあなたに一目惚れでした

