「なんだ、ボクの顔に何かついているかい?」

「あの耳、耳が!」

「ああ、コレかい?」


不気味なほど不似合いで、だがリアルな造りの耳がピクリと動いた。

本物?まさか!
人の頭にウサギの耳があるなんて有り得ない。

きっと遠隔操作可能な無駄に高性能なうさ耳なのだ。


「おい、何ボクの顔をジッと見てるんだ。何かついているか?」

「あの、その耳は本物?」

「は?オマエは阿呆か?」


少年は怪訝そうに眉をひそめ、ひどく呆れたという表情で俺を見てくる。

なんだか屈辱だ。いたたまれない気持ちになって、俺は空笑いしながら前言撤回しようと試みた。


「や、やっぱり!そんな耳をつけた人間がいるわけないですよね。変なこと聞いちゃってすいません」


そうは言ったものの、少年は更に怪訝そうな顔を深めただけだった。

修復不可能か‥‥‥。


「本物だぞ」

「へ?」


今何か幻聴が聴こえた気がする。


「聞いてるのか?これは本物だ。好きでこんなふざけた耳をつけてたまるか」

「う、うそ」