1、マンションのベランダから脳天にむかって植木鉢が落ちてきた

2、大型犬の鎖が突然ちぎれて飛び掛かられた

3、化学実験中、急にバーナーの火が強くなりビーカーが割れて破片が飛び散った

4、危険運転のトラックに撥ねられかけた

5、買ったばかりのボトムのポケットが破れ、アイフォンを落として割った

6、そしてその修理に向かう途中、たちの悪い連中に因縁をつけられ殴り合いになった


たった2日間でコレだ。不幸としか言いようがない」

「‥‥‥っ」

「オマエは、いつも襲いかかる数々の不遇を反射神経と鍛えた運動能力で交わしてる。だけど、最近悩んでいたんだろ。"この先も常に気を張って生きて行かなければならないのか"と」


少年はそう言って、静かにメモを閉じた。そして俺に何かを投げて寄越した。


「今日寝る前にそれを飲め」

「え?」


キャッチしたのは、何やら液体の入った小瓶だった。無色透明。とろみもなく、まるで水のようだ。


「コレを飲んだらなおるんですか」

「飲めばわかる。効果があったら、明日、同じ時間にここに来い。今日はもう帰っていいぞ」


そうして俺は怪しい小瓶を授けられ、不本意な初バイトを終えたのだった。