「俺なんか、所詮シロウトだし、役に立たないと思いますよ」

「そんなことはないさ。実は、オマエのことをしばらく監視させてもらったんだ。いい運動神経だった。頭もいい。充分働けるはずだ」


悪あがきは見事に返り討ちにされた。なかなかの高評価だが、なんだか不穏な単語が出てきた気がする。"監視"って‥‥‥。身震いした。

なんとかして、こんなバイトは断りたい。嫌な予感しかしない。

だいたい、俺は、不幸な体質を治す為に"客"として、ここへ来たはずだ。なんで、バイトをしなきゃいけない。まだ、悩みを聞いてもらってすらいないのに。

きっぱり断って帰ろう。そう決心して口を開こうとした。しかし、それより先に少年が口にした言葉に俺の心は揺れた。


「ここで働いてくれるなら、おまえのその不幸体質を取り除いてやる」

「なんで知って‥‥‥」

「監視したと言っただろ。度々不幸に襲われるおまえを見たからな」


少年は不敵に笑った。そして何かメモを開いて読み上げはじめた。