結局、俺は彼女を抜くことが出来なかった。
順位は2位だった。
もちろん彼女は1位だ。
「はぁ…、やっぱ無理だったか……」
そう呟いたときだった。
「ねーねー!!キミさぁ足、速いね!」
笑顔でそう言ってきたのは彼女だった。
「あんたのほうが全然速いじゃん」
俺は素っ気なくそう答えた。
「そぉかなぁ?私は速いと思うけど……」
「思わなくていいから。それより戻らなくていいの?テントに」
彼女の学校のテントからミーティングをしている様子が見えた。
「あ、ホントだ!私もう行くね!!」
そう言って駆け足でテントに戻っていった。
「……俺も戻るか」
テントに戻ろうと方向を変えたとき、
「楽しかったね!!」
彼女の声が後ろから聞こえた。
「……そうだな」
俺は振り向かずにそう言った。