「私立出水(いずみ)高等学校中等部 15番、今井琴美」 「はい!」 彼女は気合いの入った声で応えた。 「〇〇市立東海中学校 21番、 黒澤優兎」 「はい」 この日は県の陸上競技大会の日。 俺の出る種目は100m走だった。 (あ…コイツ、今井琴美じゃん) 俺は彼女を知っていた。 ていうかこの県に住んでいる中学生だったら誰でも知っている。