あいつと別れたのはちょうど一年前の今頃。一英恭也(いちえ きょうや)、私の元カレ。

恭也とは、中学で出会った。同じクラスで席の隣どうしだった私たちは、すぐに仲良くなった。

私はだんだんと恭也に惹かれていった。

中学2年の春、私は桜の木の下で恭也に告白した。

告白なんてしない!と思っていた。友達という今の関係が壊れてしまうのが怖くて…。
でも私は恭也の特別になりたかった。

人生で始めての告白だった。
「好きです。付き合って下さい。」
恭也は驚きと喜びの混じった表情をしていた。
「はい。俺なんかでよければ。」
そうして、私たちは、付き合うことになった。

毎日手をつないで、一緒に帰った。
休みの日は、デートをした。
高校も同じ『桜坂高校』を受験した。
二人で一生懸命勉強して、合格した。
毎日笑いあった。
毎日が幸せだった。
これからもずっとそうだと思ってた。

恭也が変わったのは、高校に通い出してしばらくたってからだった。
一緒に帰ることも、休みの日に会うことも、なくなった。
部活や勉強で忙しいのだ、と毎日毎日自分に言い聞かせた。

ある日友達から、恭也が先輩と付き合ってる、って話を聞かされた。


嘘だ!そんなはずない。だって恭也の
彼女は、私だから!


そう強く思った。でも、どんなに強く思ってもその思いが言葉として出てくることは、なかった。

それからの毎日は、地獄のようだった。
毎日が苦しくて苦しくて。つらかった。
もがけばもがく程その苦しみに飲み込まれていくようだった。
私はその苦しみから抜け出したかった。だから恭也を、春祭りに誘った。
最後のかけだった。