そしてくれたものは

「ふわふわ甘々!麻友特性メロンパンだよー!」

甘くてとろけそうなほど可愛いお姉さんに負けじと甘くてとろけそうなモールのメロンパンだった。




優人side

黙々とメロンパンを食べる海の、意識がなくなった。心臓の音がうるさくなって、嫌な汗が米神を流れる。弟が倒れた姿に重なる。海に駆け寄れば真っ青だった顔は真っ白になって、まるで死人のように呼び掛けに答えない。

「海!しっかりしろ!」

そう言ってから、俺は海を抱えて保健室に滑り込んだ。

「先生!こいつ見てやってください!」

保健の先生は結んで肩くらいまでの明るい茶髪のツインテール。名前は沙藤先生。沙藤先生は底抜けに明るいこの男子校では二人目の女の先生でマスコット的な先生だ。

「こっちこっちーっ♪」

状況に全く動じてないようでふんわりとした笑顔で俺をベッドに誘導する。呑気すぎやしないか?だが文句を言うような性分でもないので言われたとおり海をベッドに寝かす。

一方沙藤先生は、海の手首で脈を測ったり目にライトを当てたりすると、海の体に布団をかけて

「すなわち!栄養失調と睡眠不足!大丈夫大丈夫!ちょちょーっと点滴して!ちょちょーっと寝てれば治るから!彼最近なに悩みでもあったのー?」

「…ぁ、まぁ……」

沙藤先生の明るいというかガツガツしてる態度に圧倒された俺は曖昧な返事をする。

「じゃあ!起きたら優しくしてあげるんだよ?ネッ!」

「はいっ。」

その返事を聞いた沙藤先生は鼻歌混じりに海を見ると、いいこいいこと頭を撫でた。