次の日
匡ちゃんは、仕事をしてるから電話は夜ってことに決まった。

昨日、あんなに楽しく話したのが初めてだったから、夜になるのがまちきれない。

これまで恋愛経験がない私はこの気持ちが、恋だなんて気づかなかった。

もし、気づいたとしても想像だけの彼。
好きになるはずない…
そう思っていた。

プルルル…

『もしもし?』

〝みお?
今大丈夫?〟

まちにまった彼からの電話で、ちょっと声がうらがえっちゃった。

『全然大丈夫っ‼』

〝あのさ、一緒にドライブいかん?
合格祝いだと思ってさ!〟

一瞬あたまの上にはてなマークがついた。

『家どこだっけ?』

〝鹿児島だよ?〟

『いやいやいや!
むりでしょ‼』

〝むりじゃないよ?
俺が、みおん家まで迎えきてやっから!〟

いやいや…
そういう問題じゃなくてですね…



沈黙が続いた。


〝いや?〟


そんなわけない!
でも、親が絶対許してくれるわけない…
年上っていっても上すぎるし、はたからみれば援交って思われるんじゃ…






そんな思いがあたまをよぎる。



でも遊びたいっ!


『いいよ♪
そのかわり、親にばれたら大変な事になるけど… 大丈夫?』


〝おっしゃー! 親にばれなきゃいいんよね♪
じゃあいつがいい?〟


『次の週は、家族と卒業旅行がはいってるの…
だから、次の次の週は?』

〝いいよー
俺、平日は仕事で日曜しかあいてないから…
日曜でいい?〟

『オッケーです!』

あっさりとデートの約束をしてしまった。

ん?
ちょっとまって?
これってデートなの?
まだ匡ちゃんから好きなんてひとことも聞いてない…



匡ちゃんからしたら、私なんかお子様で妹ってくらいにしか思われてないんだね…

軽くがっかりした自分がいた。

その日はなにも考えられなくて、すぐにねた。

そして夢をみた。

車に一緒にのってるんだけど…
その人はちっとも私を見てくれないの。
じっと前をみてひとことも話してくれない。

匡ちゃんは、こんな人じゃないよね…

このときはまだ、不安と期待であたまがいっぱいだった。