あなたと出会ったのは、月がとてもきれいな夜でした。
私たちは夢をみて夢をみて…
ずっと一緒にいれると思ってた…

『みんな卒業しても私のこと忘れないでね!』
中学校の卒業式。
無口で、あんまり笑わない私、春野実音はしばられていた義務教育からやっと抜け出せた。
無事高校に合格し、念願だったケータイを買ってもらうことができた。
親はとてもってほどじゃないけどけっこうまじめで高校入るまで買ってもらえなかった。

神様、私たちの運命はここからもう決まっていたんですね…

中学校を卒業したと同時に自由を手に入れた私。
勝手に大人になった気分でいた。
でもまだ未成年で自分のことに責任をもてないお子様で…
強がってただけなのかもしれない。


私はケータイを買った当初から親友のしずくに紹介してもらったケータイのアプリにとてもはまっていた。


『アプリってだいたいが出会い系だと思うんだけど、まぁ会わなければいいんだよね♪』



こんな風に軽い遊びでやっていた。


3月9日
私たちはこの日出会ったの…




『ただいまー』
私は家に帰るといつも通りひまつぶしでケータイをさわりはじめた。


〝どこのひと?〟


『熊本』


〝うそっ!おんなじ九州だよー〟


『どこ?』


〝鹿児島。ここじゃなんだから、このアプリせん?〟


『いいよ♪』



しばらくして電話がきた。


〝俺、匡っていうんだ!
よろしくー〟


『私は実音。よろしく♪
匡ちゃんってよんでいい?』


〝いいよ!
じゃあ俺は、みおってよぶな!〟


『わかった!』


〝みおはいくつなん?〟


『15だよ。』


〝はっ⁈
俺、21なんだけど… 大丈夫?〟


私は遊びって思ってたから、ふつーに


『全然いいよ!』
っていった。
まぁ、何度かこのくらいの歳の人とあたったことあるし、大丈夫でしょ!


その選択が大変なことになるとは思いもしなかった。