どこからともなく聞こえたその声は、どこか懐かしく感じた。



「誰……なの?」



声の主は見当たらず、ただ……



涙が目からこぼれただけだった。



何故か分からなかった。



別に泣きたかった訳ではなかったのだから……



「おっおにぃ?」



リエルは声にたずねた。



『君はこんな所にいてはいけない。君は、君が運命なんだから。』



「私が運命?それって……。」



『これ以上は言えない。後は君の役目だ………リエル…。』



「えっ。」



だんだんと声が離れて行く気がした。



「待って!!」



声は離れて消えてしまった。



(おにぃなの?)



懐かしく感じたのは声がおにぃのものだったから?



(だから、私泣いてたの?)



リエルの予想は当たっている?



「私が運命。私、行かなくちゃ。」



リエルは荷物をまとめ、家を飛び出して行った。