my existence sense-神が人を愛す時-










「おや、お嬢ちゃんどうしたのかな?」



扉の前には数人の衛兵。

一人でテクテクとやってきて扉の前で止まる女の子。
当然のように衛兵達は女の子へと声を掛ける。








「おいおい、誰だよ?
こんな子供を一人で彷徨かせてんのは」


「誰か客人の子だろ?
今日は方々から沢山来たからなぁ、迷子にでもなったんだろう」



一人が女の子に声を掛ける。
その後ろでその他が口々にそう話す。











「其処を退け」



そんな衛兵達に女の子は面倒臭そうに目を細めて簡潔にそう言う。






「え?
あ、あぁいや此処へはね子供は入れないんだよー?ごめんねぇ」



女の子の言葉に一瞬びっくりするが、ただの子供の我が儘だと判断し笑いながらそう返す衛兵。








「それはお前が判断することじゃない。
私はこの中に居る奴に用があるんだ、戯言を言っていないでそこを通せ」



「なっ?
この餓鬼........ゴホンッ、いやだからねお嬢ちゃん此処はお嬢ちゃんみたいな子供が来る所じゃ―――」



「急いでいる。
退く気が無いなら力衝くで行く」



「え―――」






バッ。
――――ッ!

一瞬のことだった。
視界から目の前に居たはずの女の子が居なくなる。









「此処の兵は隙が有りすぎるな」



瞬く間。
再び目を開けば見えるのは床に伏せる衛兵達。

血は流れていない。
息もちゃんとある。
どうやら気を失っているだけのようである。


フッ。
何事も無かったように伏せる衛兵達を見下す女の子は、僅かに乱れた鶯色の髪を手櫛で直した。










ッ。
――――ギィイッ。

女の子は衛兵を気にも留めずに目の前の扉に手を掛ける。
それは大きくて重そうな扉だったが女の子は何の気無しに片手で開けてみせた。