my existence sense-神が人を愛す時-

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今日は朝からバタバタとしていた城の中がようやく落ち着いてきた。

城内で行われていた試験も終わり先程その結果も発表されて各々がそれぞれ帰る場所へと帰っていく。
自分達の所属する小国か、遠方から来た者達は城下の街に取っている宿にでも帰るのだろう。




.........。

大勢の人が一気に去っていき城の中はいつものように穏やかさを取り戻す。
仕事に追われていた城の者達も一時羽を休めて城の廊下もシンッと静まり返っていた。







テッテッテッ......。

そんな中で一つ小さな足音が響く。









「フンッ、さすがは人の国を束ねた大国の城。
広さも造りもやはりそれなりだな」



テクテクと小さな足取りで歩く二つお下げの可愛らしい女の子。
歩くその度、振動でその鶯色のお下げがワサワサッと揺れる。

だがそんな女の子の口から溢れるのは可愛らしさも子供らしさも微塵も無い言葉。
喋り方も落ち着き払っていて冷たく吐き捨てる。







「.............。
ノヴェリア―――平和の為の同盟等とは甘く腐った事を言うと思ったがこの数年ですっかり国を纏め上げてしまうとは」



テッテッテッ。



「その上に今回のこの徴兵。
フフンッ―――まさか神殺しとはな、あの若造」




徴兵。
神殺し。

普通の子供からは決して溢れぬような言葉。
大人であれど一般の市民ではまだ知らぬ神殺しの為の徴兵.......それをこの女の子は知っていた。


テッテッテッ。

そもそもこんな子供が城の中を一人で彷徨いているということから可笑しい。
こんな子供にはこの城に用事などは無いはず。

客人の子で親に付いてきたとしてもこう一人で彷徨かせはしないだろう。










スタンッ。



「此処か」



一人でそんなことを呟きながら女の子がテクテクと向かったのは大きな扉の前。








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