my existence sense-神が人を愛す時-










フッと女の子に視線を戻してみる。

するとそこには先程まで俯き加減だった女の子が真っ直ぐこちらを見ていた。
怯え........などは微塵も無い子供らしからぬ鋭く尖った視線で冷たくバロンを見つめていた。












「お嬢ちゃ――――」



「悪いが私は急いでいる。
ナンパなら他を当たれ」



.......。

............。





「は、はぃ?」




聞き間違いでは無かったか?

まさか、まさかこんな可愛く幼い女の子がそんな言葉を吐き捨てるように言うなんて。








「お、お嬢ちゃん別に怖がらなくてもいい――――」



「しつこいな。
これ以上付き纏うと斬り捨てるぞ」



「............」




いや―――聞き間違いでは無かった。
確かにその言葉は、子供のものとは思えない物騒極まりない言葉は女の子のその可愛らしい口から放たれていた。

え?き、斬り捨てる?
バロンは思わず言葉を失った。
言葉の内容にというよりは、その女の子のギャップに。










スッ。




「じゃあ私は行く。
これからはちゃんと前を見て歩くんだな」



テッテッテッテッ......。

茫然と立ち尽くすバロンに女の子はそう冷たく言い放って彼の横をスルリと擦り抜けて曲がり角に消えていった。

ハッと暫く経って女の子が消えた曲がり角の向こうを振り返るがもうそこに女の子の姿は無くて、ただただ長い廊下が伸びていた。








...........。

カツンッ、カツンッ。









「あの子は一体.....何だったのでしょう.......」








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