my existence sense-神が人を愛す時-









ギイィィッ。





「それでは失礼致します、陛下っ!」



キルファに背を向けて部屋を後にする二人。

ッ。
扉を前に一度後ろを振り返りそう言い敬礼するジーザスに扉の前で番をしていた兵達が何事かと二度見する。






「あぁ、気にしないで下さい。
中身はいつも通り適当でちゃらんぽらんなジーザスさんですから」



先程のキルファの言葉に目を爛々と輝かせ下心に思い馳せてニヤニヤしているジーザスを冷たく横目にバロンは兵達に呆れた声で言ってやった。













「艶やかな髪にぱっちりとした瞳.......麗しい唇に整った肢体.......はぁぁあ.......」



完全に妄想に更け入り夢見心地な間の抜けた顔になっている。
うっとりとした溜め息は熱を帯びていて暑苦しい。





「はぁあ........全くこの人は」



その隣で全く別の意味での溜め息を落としたバロンは頭を抱えた。









「それにしても........新しい部隊にキルファさんが選りすぐった人達。
一体、どんな方達なのでしょうか.........」



隣のジーザスを完全に意識から外して先程のキルファとの会話を振り返り呟く。






「各国の名の知れた猛者達も招集されこの試験を受けたと聞きます―――そんな中でその試験を素通りして引き込まれた人材........まるで想像が付きません。

そんな凄い人達と共に戦う、況してやその人達を率いていかなければいけない立場だなんて」



ッ。




「そんな重役、僕のような凡人に務まるのでしょうか........?」









妄想に浸るジーザスと一人考えに耽り呟くバロン。

.............。
そんな二人を前に門番の兵達はどうして良いか判らずに顔を見合わせ気まずい空気が流れる。




ッ。
タッタッタッタッ........。

そんな門番達の存在を、そして隣のジーザスの存在をすっかり忘れてバロンは考えに耽ったままに長い廊下を自室に向かって歩き出した。









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