my existence sense-神が人を愛す時-









「い、い、いや何だ、ただの寝坊って訳じゃねぇんだぜ?
えっと........そ、そうだ!
実は昨日な、この大切な試験を前に真面目な俺は緊張しちゃって緊張しちゃってそれを和らげようとちょーっとばかり酒を飲んだら思いの外回っちまってなぁあ!
これは事故だな、事故!俺の真面目さ故の事故ってやつだな」



「試験を受ける側じゃないんですから緊張も何も無いでしょう?
それに繊細さの欠片も無い鈍感なハートの貴方が緊張で眠れないなんて有り得ません」



「なっ、俺のハートはなぁ生まれたての小鹿ちゃんのようにピュアで繊細なんだぜぇ?」



「さぁ、キルファさんを待たせてはわざわざ此処まで貴方を呼びに来たことまで無駄になってしまいます。
これ以上手間を掛けさせないで下さい」








この一連の会話。
このジーザスという男が誰もが認める適当男であるということがよく判る。

この人が将軍でこの国は大丈夫なのか。
ハハッと隣で笑う上司に些か不安を覚えるバロンである。








「さぁ、いい加減行きましょう」



「はいはーい」



不安は募るがどうにもならない。
この男の適当さ加減にいちいち不安を覚えていては身が保たないことを知っているのでこれ以上深く考えないようにしてバロンは再度促す。


ッ。
ようやく動き出す二人。

今の会話だけでも数分の浪費。
それだけでなく寝坊で数時間待たせている。
しかもその上に待たせているその相手は自らが仕えるこの国の王であるというのに―――全く暢気なものである。






「......あー、それにしても眠い!」



「何言ってるんですか。
さっきまで寝ていたんでしょう?」



「いいだろ?キルファだし」




さして急ぐ訳でもなくてジーザスは欠伸をしながらやる気の無さそうにタラタラと歩く。

臣下にこんな扱いをされているキルファって。
バロンはちょっとキルファを哀れに思いながら、そのままタラタラと歩く上司を引き連れて彼の居る王の間へと向かった。







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